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コーヒー専門店 ライオン

Photo by:神谷亮賢

detail

60年続く名古屋の純喫茶を保存・再生するプロジェクト。

名古屋市栄の繁華街の大通りに面していながら、
まるでそこだけ時間が止まっているかのような、
古き良き時代の空気感をそのまま醸し出して佇んでいる
『コーヒー専門店 ライオン』

3代目の店主であるクライアントは
「祖母の代から続くこのお店を守り続けていきたい」との想いを口にした。


「文化・歴史を守り先の時代に継承していくためにも、変えるべき必要がある。」
そのような想いを抱きながら本プロジェクトに取りかかった。

まず、店舗の基本的なスペックを向上させるために
痛んでいた壁や天井仕上げの補修、設備の更新、動線の改良、カウンターの増設などを行った。
これらは細心の注意を払いながら、既存のイメージを踏襲するよう計画した。


さらに、以下の二点のみ新たに意味を付け加えるような操作を行った。

一つ、増築されていた客席部分を撤去し、中庭をつくった。
光と風を導くことで店内の居心地が増すとともに、中庭の象徴としてエドヒガン桜を植えた。


二つ、和紙アーティストのハタノワタル氏の協力を得て、
壁に掲げられた
MIBORO LAKE (御母衣ダム 後述の荘川桜と関係性の深い場所)
と刻まれた木の彫刻画に呼応するよう、
壁のニッチに桜を意識した深緑と桜色の和紙をあしらった。

以上、二つの「桜」にまつわる操作であるが、
これは現店主の祖母にあたる創業者の出身地が
「荘川桜」で有名な岐阜県高山市の荘川であることに由来し、
その追憶となるとともに、
3代目の店主の、自分なりの方法で店を引き継いでいこうという意志の表れでもある。

これらの操作により、ライオンの古き良き趣と歴史を残しながら、新しい変化と意味を吹き込んだ。

半世紀以上も名古屋の人々に親しまれてきたこの店がこの先も愛され続け、
名古屋の喫茶文化を継承していく一翼を担っていくことを期待している。

spec

  • 所在地
    名古屋市中区
  • 構造・規模
    RC造1階部分の改装
  • 主要用途
    飲食店
  • 計画期間
    2ヶ月半
  • 施工期間
    1ヶ月
  • 完成時期
    2018年3月
  • 担当
    間宮晨一千・神谷亮賢・高尾みちる

cooperation

和紙職人 ハタノワタル

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